登録建築大工基幹技能者講習について
登録建築大工基幹技能者講習について
1.登録基幹技能者とは(建設業振興基金HPから)
【新しい技能者像“登録基幹技能者”】
<基幹技能者>
建設工事で生産性の向上を図り、品質、コスト、安全面で質の高い施工を確保するためには、現場で直接生産活動に従事する技能労働者、とりわけその中核をなす職長等の果たす役割が重要です。
基幹技能者は、熟達した作業能力と豊富な知識を持つとともに、現場をまとめ、効率的に作業を進めるためのマネジメント能力に優れた技能者で、専門工事業団体の資格認定を受けた者です。現場では、いわゆる上級職長などとして、元請の計画・管理業務に参画し、補佐することが期待されています。
<登録基幹技能者制度>
基幹技能者制度は、1996(平成8)年に専門工事業団体による民間資格としてスタートしましたが、2008(平成20)年1月に建設業法施行規則が改正され、新たに「登録基幹技能者制度」として位置付けられることになりました。
同年4月以降に国土交通大臣が登録した機関が実施する登録基幹技能者講習の修了者は、登録基幹技能者として認められ、経営事項審査においても評価の対象となりました。
建築大工では、2014(平成26)年から講習を開始し、2019年からは講習実施団体を拡大し新たな枠組みで講習を行っています。
<登録基幹技能者の資格要件>
登録基幹技能者講習を受講するためには、次の要件を満たしている必要があります。
- ・当該基幹技能者の職種において、10年以上の実務経験
- ・実務経験のうち3年以上の職長経験
- ・実施機関において定めている資格等の保有(建築大工では、1級建築大工技能士、枠組壁建築技能士、1級・2級建築施工管理技士、一級・二級・木造建築士、プレハブ建築マイスター)
<登録基幹技能者の役割>
登録基幹技能者は、現場において次のような役割を担っています。
- (1)現場の状況に応じた施工方法等の提案、調整等
- (2)現場の作業を効率的に行うための技能者の適切な配置、作業方法、作業手順等の構成
- (3)生産グループ内の技能者に対する施工に係る指示、指導
- (4)前工程・後工程に配慮した他の職長との連絡・調整
2.登録建築大工基幹技能者に求められるもの
<建築大工技能者における技能労働の特徴>
建築大工技能者の特徴は、その活躍する場が町場の住宅建設と野丁場の建築における木工事にまたがることです。
地域の住宅生産体制に対応しつつ、町場・野丁場に係らず、建築大工技能者に魅力を感じる若年入職者の支持が得られる形での育成体制を整えていくことが必要となっています。
建築大工において、技能者の目標として建設キャリアアップシステムのレベル4となる登録基幹技能者が確立することは、建築大工全体の技術力向上、品質向上、ひいては社会的地位の向上につながります。
また、新規若年入職者の減少が続く現在、登録基幹技能者講習の設置・運営により、資格手当等の処遇見直しや福利厚生の充実といった労働環境の改善、教育環境の拡充等に伴う新規入職者の確保・育成が期待できます。
<建築大工における基幹技能者の必要性>
登録基幹技能者の制度は、野丁場、すなわち総合建設業の下で働く専門工事技能者のトップがその専門的な知識と技能を以って、専門工事に関わるQCDSE(Quality=品質、Cost=原価、Delivery=工程・工期、Safety=安全、Environment=環境)の各分野の管理業務を統括して元請けの生産性の向上に寄与するところから始まっており、建築大工技能者においても野丁場におけるこの役割が変わることはありません。
町場の住宅現場においては現場監督が工事全体のQCDSEの管理を行っていますが、建築大工の基幹技能者は全工程で最も長く現場に職種として現場監督の補佐的な役割を担うこととなります。
また、登録基幹技能者は、許可を受けようとする建設業の種類に応じて、主任技術者の要件を満たすこととされています。住宅現場においてもこれからは、登録基幹技能者の資格を持った建築大工技能者が主任技術者を務めることも考えられます。
<建築大工技能者において必要とされる基幹技能者の数>
国勢調査(2015年)によると建築大工技能者の総数は約35.4万人、5人に1人が町場で棟梁もしくは野丁場で職長を担っていると仮定すると、職長数は約7.1万人となります。
町場では約20.4万人の建築大工技能者が関わっており、その5%にあたる1.02万人の登録基幹技能者が必要と考えられます。野丁場で建築大工が関与している一般建築物は年間約2.3万棟のうち10%にあたる0.23万人、年間750棟建てられている中大規模木造建築には必ず登録基幹技能者が必要となるから、これらを合算した13,250人が建築大工技能者における必要な登録基幹技能者数となります。大工総数の3.8%、職長数に対して18.6%となります。
3.講習のご案内(資格要件、日程、申し込み方法、受講料他)
【受講に必要な資格要件】
登録建築大工基幹技能者講習を受講するためには、次の要件を全て満たしている必要があります。
- 1.建築大工職種において10年以上の実務経験があること
- 2.実務経験のうち3年以上の職長(棟梁※1)経験があること
- 3.職長・安全衛生責任者教育の修了を原則(※2)とし、次のいずれかの資格を有していること
- (1)一級建築大工技能士
- (2)枠組壁建築技能士
- (3)一級・二級建築施工管理技士(※3)
- (4)一級・二級・木造建築士
- (5)プレハブ建築マイスター
- ※1 建設キャリアアップシステムと同様に、町場・住宅現場においては、職長や班長を「棟梁」として従事する者として読み替えることとします
- ※2 「必須」ではなく「原則」のため、必ず受講していなければいけないというわけではありませんが、受講していることを推奨します。
- ※3 二級建築施工管理技士は、「建築」「躯体」「仕上げ」いずれの種別でも受講要件として成立します。
【講習会日程】
こちらのURLでご確認ください。
※登録基幹技能者講習の種類:登録建築大工
幹事講習団体:全国建設労働組合総連合の講習を対象とします。
https://www.kensetsu-kikin.or.jp/humanresources/technician/nittei.php
【お申し込み方法】
1)会員企業
- ①会員企業において、受講者申請書等の記載事項や書類不備等を確認のうえ取りまとめ、別添1「受講者共通名簿」(Excelデータ:本名簿が受講者情報の基礎となるため、黄色セル部分に受講申込書の内容を正確に入力してください)を添えて、講習4週間前までにプレハブ建築協会担当者へ原本を送付します。
- ②講習には定員があるため、受講希望があり次第、随時プレハブ建築協会担当者に定員空きの確認を行ってから申し込みをしてください。
- ※受講申し込み状況に応じて、プレハブ建築協会担当者が調整することがあります。
- ③受講料は受講者個人または会員企業会員企業が取り纏め、申し込み前に以下にお振込みください。
- 三井住友銀行 高田馬場支店 普通口座 5024964
- 一般社団法人 全建総連建設技能者キャリアアップ支援協会
- ④プレハブ建築協会担当者が、書類不備等がないことを確認し、講習実施団体(全国建設労働組合総連合 以後「全建総連」という)に受講申込書類原本を送付します。
- ⑤講習2週間前~1週間前に「受講案内票(受講番号、会場案内図、時間割、諸注意等を記載)」を講習実施団体(全建総連)から受講者に直接送付します。「受講票および受験票」「テキスト(共通テキストおよび建築大工テキスト)」は当日受付で「受講案内票」と引き換えにお渡しします。
2)受講申請者
下記の必要書類に必要事項を記入し、会員企業担当者に提出します。
- ①別添2「受講申込書(様式第2号)」(証明写真貼付)
- ②住民票(抄本 本申請日から2か月以内のもの)
- ③別添3「実務経験証明書(様式第1号)」
- ※事業主または上位下請による証明。
- ※自身が事業主や一人親方の場合は誓約欄に記名・捺印のうえ、職長教育修了証または事業主以外の元請の建設業者等による証明書の写し(別添4「証明書書式見本」を活用)
- ④別添5「受講票および試験票兼同意書」(証明写真貼付)
- ⑤受講要件として規定する、保有資格の合格証の写し
- ⑥受講手数料の収納を証明する、銀行振込又は郵便振替の受領証の写し(講習実施団体発行の領収書でも可)
- ⑦申請者本人の証明写真2枚(無帽 縦4㎝×横3㎝ 申請日から3ヵ月以内のもの)
- ※「受講申込書」および「受講票」に各1枚貼付する。
3)受講申請でよくある質問
- ①氏名の旧字等の取り扱いはどのようにするのか。
- ⇒CCUSと同様の取り扱いとします。住民票に記載されている文字を原則とし、Excel上で表記できない場合は、備考欄にその旨を記載ください。修了証では住民票記載の漢字を記載することとします。登録基幹技能者データベースでは、旧字表記出来ない場合がありますので、予めご了承ください。
- ②事業主や一人親方の場合に実務経験証明書に添付する職長教育修了証は、3年以上前に受講したものでないといけないのか。
- ⇒3年以内のものでも構いません。
- ③自身が事業主で元請け仕事を中心に行っている場合は、「事業主以外の元請の建設業者等による証明書(別添4)」を誰に証明してもらうのか。
- ⇒1度でも下請や手伝いで入ったことのある事業所に証明をしてもらえれば問題ありません。
- ④「実務経験証明書」の証明者欄に押印する会社の役職印(代表者印)はあるが、会社印はない場合はどうすればよいか。
- ⇒やむを得ない場合は企業名が明記されていれば、役職印だけで構いません。
- ⑤実務経験証明書について、証明する会社は大工(工務店)の会社でないといけないのか。
- ⇒上位下請や元請等、要件に適合していれば工務店でなくても構いません(不動産会社、流通店等でも可)
- ⑥「低層住宅のための職長教育」修了証は、自身が事業主や一人親方の場合の実務経験証明書の添付書類として問題ないのか。
- ⇒事務規程には「労働安全衛生法第60条による職長教育修了証」とされているため、「低層住宅のための職長教育」は添付書類として適当です。
【受講料】
44,000円(税込)
- ※会場までの交通費、宿泊費、ご飲食等については、ご自身のご負担となります。
- ※お支払い方法は、前出 3. 1)③をご参照ください。
【合格通知及び修了証の送付】
合格者発表は講習修了証の発行を含み、試験より2カ月以内に通知いたします。
- ※修了証の有効期限は5年です。
- ※5年ごとに更新する必要があります。
【登録基幹技能者データベースへの登録】
本講習修了者各位のデータ(氏名・生年月日・地域・会社名・修了証番号・修了年月日)は、(一財)建設業振興基金のホームページ内に設けられた登録基幹技能者データベースに登録されますので予めご了承下さい。
4.助成金のご案内
【助成金制度のご案内】
本講習会の受講に際し、ご利用できる助成金制度がございます。
- ※詳細や申請方法は各制度の要領等を必ずご確認ください。
厚生労働省作成助成金パンフレット(建設事業主等に対する助成金のご案内<建設事業主向け>)
①人材開発支援助成金・建設労働者技能実習コース
雇用保険適用事業所で労働者数20人以下の中小事業主が、労働者に登録基幹技能者講習を受けさせた場合、経費助成として受講料の3/4、賃金助成として日額7600円が助成されます。(労働者数21人以上の場合も助成あり)
②人材確保等支援助成金・雇用管理制度助成コース(建設分野)
雇用保険適用事業所が、就業規則や労働協約の変更により登録基幹技能者の賃金テーブルまたは資格手当を年間2%以上かつ10万円以上引き上げ、実際に適用した場合に年間6万6500円が最大3年間助成されます。
5.合格基準
試験の合格基準は、試験科目の合格点6割以上とする。